向かいから来る人をうまく避けながら、ミナの元へと急ぐ。

―だから気付かなかった。

向かいから歩いてくる人物。

黒尽くめの服を着て、フードを深く被っている。

口元には笑みが浮かんでいた。

マカが向かってくるのを、心待ちにしているように。

そして二人がすれ違いざま。

   

大切なモノは、ちゃんと守らなきゃ…
 いつか失ってしまうよ?



マカの眼が大きく見開かれた。

しかし足はそのまま信号を渡りきってしまった。

向こう側へとたどり着いたマカは振り返る。

しかしそこに、黒尽くめの人物はいなかった。