その後、しばらくは平穏な日々が続いていた。

内くんが休みの日には以前のようにデートをして楽しんでいた。

車がないので専ら電車で遠出をしたりしていたが、私はデートができることがうれしかった。

でも内くんは車がないことを気にしていた。

だんだん地元の車をもっている友達と行動を共にすることが多くなった。

わりと柄の悪い友達。

たぶん・・・

高校中退したときにつるんでいた友達。

いわゆるヤンキーあがり?

ずっと真面目に育った私にはヤンキー友達との遊びも面白かった。

とは言っても遊びは悪質なものではなく

夜な夜なカラオケに行って騒いだり・・・

私が知る内くんの悪友達はそんなレベルだった。

ところがある晩、

私の知らない内くんのヤンキー仲間が集団で家におしかけてきた。

「ひなごめん。隣りの部屋にいてくれる?」

私に気づいた集団の1人が面白がって私に声をかけてきた。

「内の彼女?かわいいなぁ。やらせてくれよ」

私に触ろうとする男の手を内くんがつかみ

「勘弁して」

そう言って私を隣りの部屋に避難させた。

私はすごく不安だった。

隣りの部屋の会話に聞き耳をたてる。

何か重要なものが今晩ある場所で手に入る・・・

そんな会話だった。

一体何に手を出してるの!?

ものすごいショックと恐怖だった。

「ひな、出かけてくる。」

しばらくして内くんはその仲間達と出かけた。

もしかしたら

存在してはいけないものがうちにあるのではないか?

例えば内くんが捕まって

警察がうちにきて私までつかまったら?

不安で涙が止まらない。

内くんはそんなことする人じゃないよね!?

でもあの仲間が信じきれない。

深夜過ぎても帰ってこない内くんを不安に思っても何もできず

いつのまにか泣き寝入ってしまった。