私には、彼と奥さんが顔を合わせれば いつも言い争っているイメージしかなく 彼がそんな風に喧嘩しながらも奥さんに 気を遣っているとは思いも寄らなかった。 私はこの時、嫉妬というものは 思ってするものではなく、したくなくても 自然と湧き出して来るものなのだと いう事を初めて知った。 いい年をして恥ずかしい話だが、私は店を 出ると歩きながら泣いていた。 不意に襲ってきた感情に耐えられなく なってしまった。