そんな風に言われて、私は なんと答えていいのか困ってしまった。 それは私が他人だから、しかも彼のことを 密かに好きだからそうなのであって 彼の奥さんのように言いたいことを ずけずけ言えるはずはない。 しかし私はそんなことは言わずに 黙って少し困った顔をして笑って見せた。 実際に複雑な心境ではあったが 彼が奥さんと居るより、私と居る方が 落ち着けると言ってくれたことが 嬉しくて仕方なかった。