『ね、誰に仕えるとか、昇進するとかしないとか、それって選べるの?』




二人の話からすると、選べるみたいだけれど。




『一応、な。最終的な決定権は父上にある』





『満期が来ますと、私が希望をするのです。昇進やら、どなたに付きたいか、などを。それを父上様が、どうなさるかで私たち付き人の存在が決まります』




きっと、頼稜さんはその度に、拓の傍に仕えたい、と希望したんでしょうね。


聞かずとも分かる。


拓の気持ちが。




頼稜さんの存在が、たまらなく嬉しい、と。







『良い付き人さんね、頼稜さんは』


幸せそうで、良かった。

にっこりと微笑む。



『ありがとうございます』


『ほら!!頼稜、ちゃんと前見ろよ?』


『大丈夫です。ここに座ってからは、前しか見ておりません』


さすがだな、とも思う。


たわいもなく笑う拓を見ていると、私も幸せになる。




拓と頼稜さん。


互いに大事な存在なのね。