『なにやってんだよ、白純美』 海斗はその私の左手を、無理矢理掴んだ。 熱い。 海斗は私の手を強く掴んだけど、 「白純美」 ─────私の名を呟く声は本当に優しかった。 私たちはそのまま走り出した。 海斗の背中は、意外と広いことを知った。 もっと性格に相当して、狭いかと思ってたから。 …なんてね。 風になびく、綺麗な黒髪。 不意に、髪の隙間から見える笑顔。 気づくと私も、笑っていた。