『おい、おかしくなってんじゃねえぞ!!!!落ち着け!!』
海斗は、パニック中の私の頭を海斗の机に突っ伏せた。
机の冷たさで、少し落ち着く。
けれど、私の髪に触れる海斗の熱で、また熱くなる。
『かかかか、海斗っ』
早く冷静を保ちたかった。
顔を上げたくても、海斗の腕に制されている。
海斗の熱で、更に火照る。
あ、海斗の匂いがするわ。
良い香り。
純粋で、甘い香り。
何の花かしら?
百合?
でも、海斗に“白”というイメージは無い。
いつも纏うオーラは、黒。
人を寄せ付けないけれど、しっかりとした芯のある黒。
同時に、呑み込まれそうになるような強さも持つ。
私は、まだそんな花を知らないわ。
海斗の、胸の内に咲く、
美しい花の名を。

