咲いても、枯れても1~サクラ色~




『おい、おかしくなってんじゃねえぞ!!!!落ち着け!!』




海斗は、パニック中の私の頭を海斗の机に突っ伏せた。




机の冷たさで、少し落ち着く。




けれど、私の髪に触れる海斗の熱で、また熱くなる。





『かかかか、海斗っ』





早く冷静を保ちたかった。




顔を上げたくても、海斗の腕に制されている。





海斗の熱で、更に火照る。





あ、海斗の匂いがするわ。




良い香り。





純粋で、甘い香り。


何の花かしら?




百合?


でも、海斗に“白”というイメージは無い。




いつも纏うオーラは、黒。



人を寄せ付けないけれど、しっかりとした芯のある黒。





同時に、呑み込まれそうになるような強さも持つ。





私は、まだそんな花を知らないわ。





海斗の、胸の内に咲く、



美しい花の名を。