『拓と……拓と、知り合いなの?』
一応確認する。
もしかしたら、知り合いなのかもしれない。
前に拓の話をした時、“西条”に変に反応していたから。
『ねえ?』
言葉をなかなか落とさない海斗に、少し苛立つ。
気になってる?
私、なんで気になってるの?
知り合いだったら、どうしようと思うの?
この刹那の間にも、色々考えてしまう。
やっと、海斗が口を開いた。
『し、知り合いじゃないし。俺は大富豪なんかと無関係だから』
『そうよね』
海斗にそう言われると、そうなんだと思ってしまう。
簡単に。
だからそれ以上追求しなかった。
拓と知り合いってことは、同じような大富豪か、同じ大学とかってことだから。
少し、考え過ぎたわ。

