『白純美、それ見間違えじゃないの?』


『え…?どういう─…』


『だってそんな白純美の理想の人なんているはずないもん』



確かにいたわよ!!そう言い返したかった。

でもなぜか出来なかった。

そうかもしれない。


見間違え、だったのかもしれない。



だってあんなに優しく笑って、
まるで桜のように儚く、

今にも消えてしまいそうに。



『ね?だからさ、とりあえず今は目の前にある出逢いを大事にしようよ。3人とも、楽しそうじゃん!!』



恵はそう言ってまた笑った。


あなたの狙いはただ一人。

そうでしょう?

なんて思って笑った。



『今日、だけだよ?』


『やったあーっ!!帰りめちゃくちゃ楽しみ!!』



そう、今日だけ。

私はまた会うから。あなたに。

あれは幻じゃない。

そう思わせてくれるのは、髪の熱。
あの人の綺麗な指で、触れられた髪。

今でも触れてみると、かすかに熱い気がする。


忘れない、あの笑顔。


「白純美ちゃん」

名前を呼んだ、あの声。



会えない。

それだけで切なくなる。


会いたい気持ちが、苦しい。


それでも尚、会いたいと思う。


例えあなたが忘れてても

私は忘れない。



忘れられないから。