「ヒナコ・・・
お許しがでたぞ・・・?」
志央も、
言葉と裏腹な声を出す。
もう、言葉もでてこない。
ショックだった。
泣き出しそうな私を、
志央は抱きしめ、
頬にキスをする。
「コウジさんてさ。
いつも距離を取るんだ・・。
音は、特にね。」
抱きしめたまま、
慰めるように、
言葉を紡ぐ。
「やっぱ・・・
俺のやり方じゃあ、
あの人には
合わないのかな・・・。
最近よく思うんだ。」
志央もわかってるんだ。
きっと、彼なりに
考えるんだろう。
相手は、キャリアもある
職人肌の人だから、伝え方とか
案外気を遣っているのかも
しれない。
「志央。」
私のできる事なんて
ないけど。
日向さんの想いを伝える事は
私にもできるはず。
志央が、
こちらを見つめる。
「日向さんは、わかってるよ。
志央が、一緒に音楽を
作りたいって思ってること。
でもね。彼は、
自分がアクティブになることで
バンドのバランスが壊れる事を
心配してるの。」
色んな経験してる分、
そう思うみたいだよって
いったら、志央は腕を緩めて、
そうなんだって、つぶやいた。



