「インタビューを兼ねてね。」
志央が補足した。
不敵な笑み。
また、何か
たくらんでるんだろう。
きっと。
「そーだ。
コウジさんにも
きいておくかな。」
「何?」
楽器を下ろしながら、
彼は、さほど会話に
興味なさそうに返した。
「ヒナコと寝たの?」
「ああ。寝たよ。」
彼は、タバコをくわえながら、
普通に答える。
・・・恋人だって事に
なってるから・・・
だろうか?
書類をそろえる。
口を挟むつもりもない。
けれども、
わざわざ答えた意味が
わかんなくて、戸惑う。
「へえ。どうだった?
よかった?」
志央を見なくても、
イタズラな瞳をしてる事は
明確で・・・。
・・・こんなところで
聞かないでよ・・・。
「そ−だな。」
日向さんは、
タバコの火を
消して言う。
「よかったんじゃない?
自分で確かめれば
いいだろう?志央。
いつもそうしてるじゃん。」
って。
えっ・・。
彼の、あまりにキツイ言葉に
書類を持った指が、
一瞬、ビクッと震えた。
顔をあげる勇気も、
もう、ない。
どうして・・・?
視界が歪む。
「先に入ってる。」
彼は言葉を残して、
スタジオの扉を閉めた。



