「ぁあー・・・」
いらない事を考えたせいか、
肩まで凝って来た。
薬を買いに行ったほうが
よさそうだ。
缶ビールの栓を抜き
一口含む。
まだ美味いと、
思えるくらいだから、
風邪はひどくなる前に
押さえられそうだ。
何とはなしに、
ヒナコが気になって、
眼鏡をかけて
スタジオへの階段を降りる。
扉の向こうから、
微かに喘ぎ声が
もれてくる。
『喘ぎ声』
そんなモノを
練習するやつも珍しい。
・・・・させる方も
どうかと思うが・・・。
ヒナコは、ヘッドホンをして
音源を拾っているから、
俺が扉を開けた事には、
気付いていない様だ。
ただ、黙々と
作業を繰り返している。
やがて、彼女はテープを止めて
ため息をついた。



