「三時か・・・眠いはずだ。
さてと、おくるか。」

店を出て、日向さんが
そう言うと同時に、
彼の携帯が低く振動音をあげる。

取り出すと、着信のランプが
ひかっていた。

「でなくていいんですか?」

液晶画面をみたままの
彼を促す。

「メールだよ。」

そういって、
文字を追う彼の目が、
怒ってるように感じた。

「あの・・なにか
あったんですか?」

「ないよ。」

でも、
眉間にシワが・・・。

険しい表情。

「あの・・
もし、ご予定とかあるんなら、
私一人で帰りますから・・。」

言った自分に、
更に険しい視線と声が
降って来た。

「何いってんの?
こんな時間に
一人にできるかよ。」

でも・・。

「俺が送りたいって
ゆってんだから、
要らない気を回すんじゃない。」

額を指でつつかれた。
もう、いくぞって。



長い沈黙のあと、
おもむろに日向さんが
口をひらいた。

なにかを考えてた事は、
想像にたやすい。

難しい顔をしていたから。


「あのな。ヒナコ。
俺、言い方キツイから、
あんまり、
喋りたくないんだけど・・・」

そう、前置きして。