「日向さん?
大丈夫ですか?」


家事を一通り終えて、
顔を覗きにいく。


祖父も、今日は、大学に
臨時講義にいく為、
早朝よりでかけてしまい、
広い部屋に二人きりだ。


「ああ、大丈夫。」

「お昼寝しても大丈夫ですよ。
ちゃんと、起こしますから。」

頬を突きながら、
瞼を開けない彼をみて、
声をかけた。


触れたかったんだ。


日向さんに。


「あっ・・・?」

頬をつまんだ手首を、
彼は的確に捕らえる。


「なあ、ヒナコ。」

瞼を閉じたまま
声をかけられた。

掌に触れた、
彼の指先の熱を、
やたらと敏感に
感じている。

「オマエさ・・
俺が、昨日言ったこと、
冗談だと思ってる?」

「えっ・・?」

こうやって・・
思い出すと、
顔が赤くなるくらい
ドキドキした言葉・・・。


「あれ、本気だよ。
・・・って、おまえ、
どうなのかと思って。」
彼は、
目を合わすことなくいった。

「えっ・・・と、
私は・・・」

昨日の事を思いだし、
あかくなる。


私も好きって、
言えばいいのに。