きつく拳を握り締め、窓に近づく。 一昨日の体育の時間以来、あたしの手元から忽然と姿を消していた。 それは、昨夜の激しい大雨でひどく濡れていた。 あたしは、それを丁寧に絞り、畳んでから鞄の中に入れた。 そして、教室の一番隅の席へと向かう。 机の上に殴り書きされた残酷な文字達。 あたしは筆箱から小さな消しゴムを取り出し、丁寧にそれを消した。 大丈夫。 あたしは静かに席に着く。