朝から降り続いた雨は、夕方になると弱くなり、雲の隙間から綺麗な夕焼けを覗かせていた。



「寒くなってきたな……」



ちょっと肌寒く、今から夜の事を考え、部屋に戻りジャージの上着を羽織った。



玄関を開けると、呼んでいたタクシーが待っていた。



俺は、タクシーに乗り込むと、携帯を開き親友の翔(しょう)にメールを送った。


『今夜は9時ぐらいに行くかも』



それから数人にメールし、待ち合わせの場所へ……



飲み屋が立ち並ぶ入り口付近にタクシーを寄せてもらい、支払いを済ませて降りた。



降りると、あちこちから、みんなが声を掛けてきた。



「慶次さん、お疲れさまです」



「こんばんは、慶次さん、今夜は1人?」



「おう、慶次、たまには飲みに来いよ?」



俺は、軽く手を上げ、愛想笑いで切り抜け、近くの居酒屋に入った。



居酒屋は、まだ時間が早かったが週末の金曜日だったせいもあり、かなりのお客さんで賑わっていた。