怖かった。



でも聞くしか選択肢はなかった。



「姉さんが…さらわれた。変なやつらに…いきなり…扉が…開い…て…消え…た…」



レットの声は震えていた。



俺も落ち着いてなんかいられない状態だったが、唯一の肉親を奪われたレットの気持ちを考えたら、俺が落ち着くしかなかった。



レットとリリーの家に行ってみると、何かが起こった様子もない。



手掛かりも見当たらない。



「俺…これからどうすれば…」



初めてレットが泣いている姿を見た。



いつも冷静なレットが…無理もない。



俺はただ呆然とする親友にかける言葉も思いつかず、ただ抱きしめてやった。



暗い暗い、雨の日だった…。