君の心

「劣悪なる魔女、非道なまでの残虐さ、漆黒の炎で街を火の海に変え、鋭気ある稲妻で人を切り裂き、世界を支配しようとした…」



突然後ろから、声が聞こえてきた。



まさに、本の内容を話し出す声の主は、14、5歳くらいの少年であった。


肌は雪のように白く、サラサラとした茶色い髪に、その髪と同じ色をした澄んだ瞳は気品が感じられ、子供とは思えないほど落ち着き、大人びた口調でゆっくりと話す。



「魔女という冷酷非情な悪魔から、王ティスタは街を救った。そして、魔女は勢力を失った。街に平和が訪れた。」



少年はめでたしめでたしと、1人で拍手をして笑っていた。