「…どけろやぁっっ!」 廊下をランニングしている男子バスケ部の間を、無理やり割って進む。 「…んだよ!…おい椿!ふざけんなテメェ!」 「どこ行くんー?」 バスケ部にいる男友達が何か言うけど、それどころじゃない。 私はローファーを下駄箱から取り出し、上履きを脱ぎ捨て慌ててローファーに履き替える。 「…はぁっ…はぁ……くっ…はぁっ…」 こんな全速力で走ったの、あの日以来かも。 ママと柊を追いかけた…あの日以来かもしれない…。