この空の彼方

お前こそ、灯世から離れろ。



灯世を傷つけたお前が何を抜け抜けと…!



芦多は俊敏に太刀を抜いた。



蛇儒もはっとして応戦する。



こいつ…!



灯世を、灯世に、術を…!



頭に血が上って、芦多は自分の頭が空になっていくのを感じた。



だからといって、冷静にはなれなかった。



意味不明に咆哮を上げ、太刀を振るう。



蛇儒の顔がかすんで見えた。



捉えた!



そう、確信した瞬間、赤い飛沫が散った。



蛇儒がくず折れる。



この臭いを嗅いだ途端、頭が冴えた。



型の経験が、そうさせた。



冷静に、もう一度首を狙う。



手に、慣れた鈍い感触があった。



完全に相手が動かなくなってから、芦多は灯世に駆け寄った。



「灯世?」



頬に触れる。



芦多の手についた血が、灯世の頬を染めた。



が、そんなことは構っていられない。



ぐっと、胸元に引き寄せた。



揺り動かしても、反応がない。



頭が真っ白になった。



外傷はないのに。



どうして。