これから会えなくなるのは爪鷹も一緒だ。



千歳と耶粗の隊は少し前に別れたので別れは済ませてあるが、爪鷹はまだだ。



爪鷹の隊は奥に引っ込む。



芦多の隊とは対極の位置に下がるのだ。



「敦賀も仲間に会っておけ。
それくらいの時間なら褒美にやる。」



せめて、敦賀に何かしてやろうと思った。



だが、敦賀はそれをにこやかに断った。



「いいですよ。
私は実はもうとっくに別れは済ませてありますから。」


「手際がいいことこの上ない。」


芦多は呆れて首を振る。



敦賀は爽やかに笑った。



「芦多様、利都はどうするおつもりですか?」



ふいに、敦賀の声が引き締まった。



芦多の顔が苦くなる。



「それが問題なんだ。
私は出来れば爪鷹に預けたいのだが…。」


「あいつ、反抗してますもんね。」



げんなりと、敦賀が吐き出す。



敦賀の手が、カサリと木の枝を払った。



気をつけろと叱る。



敦賀は片手で芦多を拝んだ。



「そうなんだ。」



芦多が何もなかったかのように話を始めると、敦賀はほうっと力を抜いた。



「無理矢理置いて行かれては?」


「後始末が…。」



そうですね、と敦賀が鎮痛な面持ちで眉根を摘む。



「かと言って、前線に連れて行っても。」


「邪魔だな。」



芦多が言葉を引き継ぐ。



敦賀はこくこくと頷いた。



「あいつも芦多様の役に立ちたくてやってるんでしょうけどね。」



その努力は認める。



一度、軍の過酷さに泣きながら芦多のところにやってきたことがあったがそれっきりだ。



それからはよく働いている。



そこはわかっているのだが…



「こちらの心境もわかってほしい。」



顔をしかめて呟くと、敦賀が笑いを含んだ声で芦多を労った。