「灯世、お前は何が不満だ?」



そして今、辰太郎に呼び出されている。



疲れている上に説教…最悪だ。



とうとう自分の身勝手を隠さなくなってきた辰太郎にほとほと嫌気が差していた頃にこれだ。



益々辰太郎が嫌いになってしまう。



灯世は長い説教に時々相槌を打ちながら、内心ため息をついた。



「これほど良くしてやっているのに、お前は全く務めを全うしない。」



しているではないか!



歯向かいたい気持ちを押さえ、顔を隠す為により頭を下げた。



あぁ、もう聞きたくはない。



「わしのおかげでこの国は安泰」だの、「これほど寛大な領主はいない」だの。



まったく、どの口がものを言う。


餓えやききんの時、税は今まで通り重かったし、米を分けてはくれなかった。



山城の為と精一杯働いていた農民が馬鹿らしく思えてくる。



何が寛大だ。



今だって、16の小娘に、まだ未熟な小娘にすべてを押しつけている。



所詮、どの領主も貪欲なのだ。