「伝えておきます。」


「そう。
じゃあ、明日、行きましょう?」



明日とはまた急な。



「何か予定がありまして?」


「いいえ。」


「よかった。
迎えをよこすから。」



房姫はにっこり笑って立ち去った。



灯世は突っ立ってそれを見送る。



ああ、約束してしまった。



明日が来るのが怖い。



どうしてまた私なんか誘ったんだろう。



嫌われている自信はある。



灯世の息子を殺したくらいだ。



まさか、歩み寄ろうとしているわけではないだろうし…。



ここに仕えて約四年、そういう気配はみせなかった。



憂鬱だ。



でも、外に出たことがない灯世にとって、これが初めての外出らしい外出になる。



せめて景色だけでも楽しもうと思った。