「な?!ちょっと待ってくれ!どういう意味だ!?」


透は去りゆく銀髪の美女に向かって叫んだ。


「貴方と話せてよかったわ。また明日…。」


刹那の声は祭りの音にかき消されて、はっきりと聞こえなかった。


「また…明日…?」


すでに人混みに消えて見えなくなった刹那を思い出しながら、透は質問の意味を考えた。


(俺達が考えているのとは何か違うのか?妖が人間を襲うようになった理由?一体何だっていうんだ…。)





京都最大の祭り「祇園祭」初日。

沢山の人が祭りを楽しむ中、人間に紛れて楽しむ妖怪と、それを知る男が言葉を交わした…。