パタパタパタパタ…。


その少し前に、上空を飛び回っている沙綺の式神がいた。


式神は沙綺の命を受けて、透達一行の霊力を感知しながら追跡していた。

しかし、その頃はまだ結界から透達は出ておらず、鞍馬山上空で途切れた霊力を探し回っていたのだ。


その様子を瞳を閉じて見ていた沙綺は眉根を寄せた。


(あん?何でこんな所で行方不明になるんだよ?…ここは確か、訓練所がある所じゃねーか。)


その時急に透達の霊力を感じた。


(今結界を出たのか?まぁ無事ならいいんだけどよ。
…じゃあ待ってたら帰ってくるな。)


そう考えて沙綺は式神の効力を取り消して、護符に戻した。

ヒラヒラと空から舞い落ちる護符…。



それから戦闘が起こるなどと、沙綺は全く予想してはいなかったのだった。