逆に 私は緊張して震える手でバッグの中の携帯を掴んで比呂也君に渡す 比呂也君は片手で運転し あいた左手で私の携帯を受け取ると 口元に僅かな笑みを残したまま 携帯の電源を 落として 後部座席にポンと放った 「フー…・・」 ため息をついて 「俺 他県の大学に行かなければよかったなー…・・」 「要の側についてりゃよかった…・・」 飽くまでも 爽やかに 呟いた 「そうしたら」 「あんなガキに…・・要にちょっかい出されなかったのにな」