「比呂也君は完璧だね!」



そんなことを要に言われると笑ってしまう




だって実際に完璧なのは



要の方で



俺はただ



模範的に振舞っているだけの不完全な人間なのだから





父親に認められなかった俺は



せめてはみ出さないようにソツなく人生を歩んで来たけど



肝心の中身は歪で



いつまでたっても満ちることのない




下弦の月のように欠けていた





太陽のように完璧な要は



そんなことも知らず俺に笑いかける









どうか



その笑顔を



他に向けないでくれ




ぞれだけが



俺の



望み