あたしがベンチの
扉を開こうとした瞬間、
大きな叫び声が
ベンチに響いた。
「大和!!
何だその足~っ!!?」
足?
大和君の…?
あたしは反射的に
動きを止める。
「さっきのランナーに
踏まれたんだ」
「お前…
その足でできんのか!?」
「大丈夫だよ。
それにここで僕が
ひっこんだらどうなる?
うちの野球部に
代わりの選手なんて
いないだろう?」
「けどよ…」
「いい。
オレがカバーする」
崎美君の声…。
崎美君、大和君にも
怒ってるかと
思ったけど…。
「大和だって
この夏が最後なんだ」
「愁…お前…」
大和君も驚いてるみたい。

