渉太は突然 あたしの手をとって 走りだした。 もちろん美紅も見てる。 だけどあたしには この手を振り払うことは できなかった。 さっきの美紅の 悲しそうな顔は しっかり覚えてる。 そりゃ、自分の 好きな人と 他の女の子を 2人きりにするのは いやに決まってるよね。 その気持ちは 痛いほどわかるのに、 あたしは右手の 暖かさに幸せを 感じていた。