「嫌いですし、苦手ですけど…。何の力も持たない部長に押し付けるのも気が引けますし…」

「でも神無月、<言霊>をかなり使ったんだろう? 部長、ボクが行きますよ。ボクは他のみんなに比べてまだ、力が余ってますし」

「えっ依琉は対抗出来ないじゃない! 私の<言霊>ならっ!」

「二人とも!」

榊の大声に、二人は口を噤んだ。

「申し出はありがたいんだけど、僕は一人で行くよ。僕はこれで引退だし、何より部長としての最後の役目だからね」

榊はプレートに視線を移した。

「何より…こんな怪奇現象に強く関われるのも、今回で最後だしね。あ~あ、留年でもしよっかな?」

「…部長は文句無しに卒業じゃないですか」

神無月が呆れ顔で言った。