昔、廃墟は寮だった。

三階建ての木造建築。中央階段から左右に男子寮と女子寮に分かれていた。

元々選ばれた者・優れている者しか入学できなかった光輪学院には、さまざまな思いに満ち溢れていた。

特に親元を離れ、一人寂しく学院へ来た者は尚更だった。

故郷の期待を背負って来ているので、友達など作らずいつも一人で寮にこもり、勉強をしていた。

お互いというより、全員がライバルで敵。

そう思い込んだ生徒達の念がふくらみ、空間を歪めるほどになった。

空間はやがて、生徒達を飲み込み始めた。

気付けば数人もの生徒の姿が消えていた。