神無月は数歩歩いて、異変に気付いた。

この体を撫でる、生温い気配には覚えがある。

昨年、同じ気配で絶叫を上げた覚えもある。

「また、か…」

諦めと共に吐き出した言葉が、体にずっしりとのしかかる。

が、こうなっては部員としての使命を果たすのみ!

イヤホンのスイッチに触れる。

「こちら神無月。校庭より封印を行います!」

『榊だよ。―くれぐれも気を付けて』

「分かりました。いったん通信を切ります。そちらもご武運を」

『うん。ありがと』

神無月は通信を切り、制服のポケットからとある物を取り出した。