曲がりきって汚れ切った愛情を
現すかのような、黒いシャツが
モニカを覆う。


意識の無い人間の重さを
抱いて立ち上がるほどの
体力も気力も

とうに、
俺の中で尽きている
はずなのに。

執着・・・だけが
モニカを抱きあげている。


奥歯がギリギリ音を立てて
不快な気分になっても

時折襲ってくる
諦めに似た感情にも

膝を崩す事も

ましてや、
意識を飛ばす事も無い。



「ダンナ、モニカは・・・
置いていった方がいい。

そんなんじゃ、無理だ。
復活しても、しなくても
使えねぇって。

だったら、ここに残してって
諸々被った方が、
戦争屋は、幸せだぜ?」

見かねた男がいうが。

 
ダメだ。

それは、できない。


余裕の無い全身が
それだけは、ダメだと
否定する。



「ならば、


俺ごと


置いていけよ・・・・・」



吐き捨てる様に言った俺を
ちょっと呆れた風に
ソイツは目をくれ
 
前方へ視線をむけた。