体勢を整えるために
壁にもたれかかる。


グラグラした視界とともに、
壁面に重力を預けた。

どこまでも沈みこむ体に、
違和感を覚えたが、奴の声に、
それが、探していたダクトだと
知った。


「旦那、やるなぁ。
って、大丈夫か?」

動きが、
更に緩慢になっている事は、
理解していたが、
立ち止まれなかった。


胸騒ぎがしたから。



目の前に広がる
異空間に目をこらす。


少し体を乗り上げて、
様子を探ろうと
視線を右に動かした。



・・・・肉塊?



体を曲げて崩れている。

腰のラインからみてオンナだ。



背筋が寒くなり
突然、
身体が覚醒したように
動き出した。





ダクトから腹ばいになって
そこへ入り込む。




半ば足が縺れ、転びそうになり
そこへ進む。




近づくほどに、見える髪の色


先の一室から
擦りつけられる様に
タイルに、こびりついた
まだ、新しい血痕




「・・・・」