マリアが
導き出した
私の生きる姿


それは
『道化』だった。

あらゆる罪と
狂気の沙汰を
被せる人形


そのために
家畜の様に
飼い太らされ
処分される


『マリア』が、
私にした様に。 

私が『マリア』に、
したように。




義父・・・・否
大株主・・・否

事実上の経営者と
懇談するため、
一旦、私邸に、
シャワーを浴びるため
引き返す。


その

乱れ切った屋内をみて
何かが音を立て、
ちぎれる。

「何て、汚らしいんだ!!」

黒焦げたコンセント

スプリンクラの作動痕跡

水浸しの全部屋

ガサ入れ直後の様に
引っ掻き回された室内

乱された浴室

その全てが、
私をイラつかせた。


・・・あの


雌ネコ・・・


相当念入りな
躾が必要だ。


今までの『マリア』の
比では済まされない。

噛み締めた奥歯が、
ギリッと音をたてた。


当然、水浸しの、この空間に
着替えがあるわけもない。


あの男は、
保身に人一倍
気を使っている。

こんな身なりの私に
会ってくれるはずがない。