私の心も体をも犯した
養母『マリア』にも


己の記憶を消し去り
己だけ、ぬくぬくと
甘い汁をすすり
生きているであろう
養父にも。


私を落しめた
国策にも。


今の私に、
その気になれば、
養父が誰か
探せぬはずもない。


ましてや、マリアの
吐いたコトバも、残像も
ひどく印象に残っている。


議員だった男
マリアが妻であった男


調べられぬ訳は
ないじゃないか。



それを、しないのは


全員平等に
裁きと罰を与えてやる
つもりだから。


マリア


おまえのコトバを
忘れない。




『あんたの他にも、
何人かいたのよね。
ラブチャイルドが。』


『十人ほどだったかしらね。

当時の・・・・で、
一人ずつひきとって。

給付金の手当を
もらうためにね。

こんなカスに、
すっごい金額なわけよ。』


『あのうちの、何人が
まともに暮らしてんだかね。

実子の臓器移植のために
あんたらの内の一人を、
ひきとった奴もいた。』



私たちは、モノではない。