自社製の薬に、
手を染めるのは
初めての事だ。


元々、アイツに奪われた
指の痛みをごまかすために
書類についてきたコイツを
服用した事が始まりだった。


この薬に常用性がないなんて、
真っ赤な嘘だ。

それこそ、
血液より深く赤い、
黒に近いほどの赤。


コイツは、私に、
忘れかけている何かを
強く揺さぶりかける。

緩やかなトランス


そこへ、
たどりつきそうななると
効き目が切れる。

いつもの事だ。


余韻を味わえる訳もなく
何事もなかったかのように、
急速に醒めていく。

残るものは、
気まずさといった感じの
虚しさか。

自慰行為のようだ。


幼少期にしか
必要のなかったソレを
思い出させる。



私が、オンナを覚えたのは
比較的早い時分の事だ。


後ろめたさを感じながら
ふける行為
背徳感


それを・・・・


あのオンナに見つかった



あの

衝撃の夕刻の事は、
忘れもしない。


あの、アバズレは
獣の様に、私に跨がり

私を胎内に入れた。


己が・・・