視線を合わせないジニーの、
手元にあるもの


これって・・・

サタンのいってたヤツじゃ・・


急いで、手から奪いとる。

「飲んだの?」

開けた様子はないが、
念のため、問う。


「間一髪・・・だな。」

彼は、俯き苦笑した。

「こんなもんに、
逃避なんか
させないわよ。」 


見るからに怪しげな、
奇抜な色をした薬を、
廃棄処分用のダクトに
投げ捨てた。


「・・・何しにきた?」


何しに・・・って
そんなの・・・。


「抱かれにでも、来たのか?」

「え?」


彼は立ち上がり、
腕を強く引きよせ、
私は、もつれる様に、
その胸に抱きとられた。


「『惚れたオトコ』・・・
だったら、
抱いても問題ないよな。」

私を、抱きしめながら
彼はいう。


「逃避の為なら、やめてよね。

・・・ジューンの事、
弟・・・の事とか、
聞きたい事は、
こっちにも一杯ある。

逃げたって、追われるだけよ。

わかってんでしょ。」


「ああ・・・。」


腕を緩め、
彼は言葉を吐き出した。