『脳波は異常なし。
外科へ回ったから。』

ミオは、少女の検査に立ち会い
当直医に、説明された内容を、
連絡してくれた。

『詳細は後で。』

彼女は、そういって
電話をきった。

精密検査の結果は、
特に問題はないようだった。

奇跡的に骨にも、内蔵にも、
影響がなかったようで、
俺達は、胸を撫で下ろした。

それでも、過度の暴行により、
昏睡状態に陥った少女は
その後、数日間、
意識を戻すことはなかった。

「上手く、殴られたもんだ。
お陰で、直接損傷は、
免れたわね。」

ミオが、タバコを差出し
言う。

訴訟は免れたかな・・・。

「ああ。あとは、
目覚めてからの問題だけだな。」

俺も、火を点けて、
煙を深く吸い込んだ。

「変な神経、
圧迫してなきゃ
いいんだけどね。」

ミオは、言って、
窓の外をみた。

「意識が戻るといいけどな。
事情聴取もしなきゃ
ならんしな。」

これからの事を考えると
ため息が出た。