扉をいくつも越え、
迷路状の回廊をあるく。

毛足の長い絨毯が
しきつめられていて、
緊張した足がとられる。

壁面に、等間隔に並ぶ、
間接照明は、球替えを
していないように暗く、
景色をセピア色に映している。

多分、電気の供給量が
へっているからだろう。


全てのライフラインは、
一部の選ばれた民の住まう、
あの巨大な傾塔へ、
優先的に供給される。


その、選ばれ方は・・・
漆黒の理由。

ブルジョア、成金、政治家・・
権力を奮うものたち。

いつか、
攻撃の標的を失ったとき、
狂った魔物達は、
自らの栄華のため
己らを殺しあうのだろう。



ならば、今は・・・?


人口が激減したとはゆえ、
はいてすてるほど、
弱者が集う今は・・?


今は?


私たちが的?


逃げ惑う
私たちを、

おまえたちは

あざけわらって
狩りとり、さらしものにして
過ごすのか?



扉の向こうのこの地獄に
私が絶叫し、
咽び泣くというのに。