「モニカ?」

装備を確認し、酸化剤が入った
予備の瓶を保管した
ジュラルミンケースを抱き、
俯いた彼女を訝しむ。


「ああ。大丈夫。
準備、できてるから。
いこう。マックス。」

彼女は、エンジンを
再びかけながらいった。

「ああ。」

何か、
釈然としないものを
感じながら、
俺も
エンジンをかけた。


ハイウェイの
出口へ向かう勾配を
下りゆく。


ハイウェイ上から見る景色も、
十分不気味だったが、
近づく製鐵所は、
まるで、鬱蒼とした
オブジェの森かなんかのようで。

非現実の闇に
吸い込まれる様で、
気が滅入った。


モニカの緊張感も
相当なもんで、
ピリピリした空気が、
絶える事なく、
俺達の間を満たしていた。