さっきは、ふっとばされ
木屑と化していた扉も、
原状復旧されていた。


そして、肉塊と化した
門番の代わりには、
既に別人が配置されていた。


IDカードを見せ、
中に入れるよう促す。

「ムーン・・・か。

お前は中にいれるなと、
ボスから勅令がでている。
引き取ってくれ。」

「あ?
リディアが来てんだろ?

アイツの監視にきたんだがな。」

この男、
今までの門番と違って
融通が利かないタイプらしい。

「あのオンナか。
狩りがいのある、
いいオンナだな。

ボスも、大分、
お気に召してる様だな。」

「だがな、リディアは、
相手がサタンでも、
平気で銃を向けるぞ。」


まるで、マリアの様にな。

『マリア』・・・
奴のオンナの総称。

固有名なんて、呼びもしない。

どいつもこいつも
『マリア』というコードで
呼ばれていた。

そして、マリア達は
揃って、最後には、
イカレタ眼をして、
奴に武器を向け、
処分されていった。


『マリア』・・・

それはペットの様で。

犬を飼うたび、
ジョンと名付けるような
発想かと俺は考えていた。