「なにがですか?」
「今作ってるもの…」
俺はフライパンの中身をそっと指差した。
すると彼女はさも当たり前のようにこう言った。
「ラーメンですけどなにか?」
まさか本気でわかってないなんてことないよな。
「ラーメンってどんなものか知ってる?」
「私をバカにしているんですか?それくらい誰でも知っていますよ」
そう言いながら彼女はインスタントラーメンに付いている粉末スープを半分焦げた乾麺に振りかけようとした。
「だめだめ、ちょい待った!」
俺はすんでのところで、アンドロイドちゃんの手を止めた。
「それはスープの粉。でもって、ここにはお湯がないわけ。つまりスープはできないの」
「え…スープですか?」
彼女はキョトンとした顔で俺を見ると、思い出したという風に両手を叩いた。
「…もしかして私、とんでもないことを…」
アンドロイドちゃんの顔がみるみる青ざめていく。
「ん~、間抜けじゃないと言えば嘘になるかな」
こりゃ重症だな。

