そして、エリの妊娠を知ってから、1ヵ月が過ぎようとしていた。

エリとは顔を合わさないようにしていたが、一緒の家に住んでいたら、どうしても気付いてしまう。

エリはまだ、子供をおろしていない。

夜中にトイレに駆け込む物音を度々聞いたあたしは、確信した。

エリは一体、どうするつもりなん…?


そんな事を思っていたあたしに、涼が言った。

「俺、後3日でこの店やめるわ」

「えっ?」

急な話に驚いた。

そりゃ東京へ行く事は、聞かされていたけど。

お金も貯まってきたって、言っていたけど。

3日後?

そんなに急なん?


そして涼は言った。

「朝日、俺と一緒に、東京来るか?」