胸をどんどんと叩くも、そんな抵抗なんてアイツには効かない。

―熱い。

唇から、アイツの熱が伝わってくる。

「ふっ…」

やっと離されたかと思ったら、アイツは唇をぺろっと舐めた。

「なぁっ!」

「今日の自主練、付き合ってよかっただろ?」

「どこがよっ!」

「秋の大会には、絶対に良かったって思えるぜ?」

…それは新記録を出すことを言っているのか。

「待ってろよ」