自信満々に髪をかき上げる仕種を見ると、イラッとしてくる。

…これでも我が陸上部のエース。

短距離走で高校記録を軽く抜いていくほどの、才能と実力がある。

なのにこの自信満々で、オレ様的性格が、どーにも気に入らない。

「ねぇ、ちょっと休憩しましょーよ。暑くて眼が回る」

「何だ、女みたいなこと言って」

「生まれて十七年! 男だった覚えは無いわ!」

怒鳴ってわたしはアイツに背を向けた。

木陰に置いてある自分のペットボトルを手に持った。

冷たい麦茶を飲んで、一息。

「ふぅ…」