(知らなかった……ここまで怪我すると、痛くないんだな……)
 

痛いというより、熱い。
 

肩は、熱を持って、じんじんと脈打っている。


なるべく血痕が付かないように歩く。


証拠が残らないという点において、雨は味方してくれた。


だが、再び彼等をまいたものの、見付かるのも時間の問題だろう。
 

追手達の手元が狂えば、殺されかねない。


よくも、こんな街中でドンパチやらかしてくれたものだと、腹が立つ。


こんな事が許されるされるのは、映画かドラマの世界だけだ。
 

しかし、狙撃手のミスでも何でも、死んではたまらないので、


それ以前にこれ以上痛めつけられるのも堪ったものでは無かったので、


彼は普段の自分では考えられないほど俊敏に動きまわった。
 


と、――何かに躓いて、転んだ……!