一樹は、吟子から視線を外し、彼女の空になったパックを折り畳みながら言った。
いかにも、くだらない話をしているふうを、一生懸命に演出する。
一方吟子も、車椅子のポケットからティッシュペーパーを出し、鼻をかんだ。
「理由は、あまり無い」
ティッシュを丸める。
「ただ、お前がスクールの時に有名だったから、とでも言おうか。
正直、名前を知っていたくらいだ。
お前がどの程度かは、会ってから判断しようと思っていた。
そして、話すに値する人間だと思ったから話した」
「そうか……」
「私は、歩けない。
これからという時に、行動が制限されてしまった。
だから、私に出来る事はそう多くないだろう……。
だが、諦めたつもりはない。
この体で、出来る事をするまでだ。
だから、お前と組もうと思う」



