吟子が、再び溜め息を吐いた。
「おい、いつまで固まっているつもりだ。
うんとかすんとか言ったらどうだ。
なあ、まばたきくらいしろ」
吟子が、飲み終わったパックを一樹に投げた。
顔にぶつかる寸前に、一樹が受け止める。
受け止めた瞬間、それまで無意識に遮断していた周囲の雑音が、どっと脳に染み込んできた。
「……今日の話を、私を……信じる信じないは君次第だ。
もし信じないなら、その時は私の事を電波だろうが何だろうが、好きに呼びたまえ。
私の行動言動すべて、自作自演自業自得自画自賛の一人遊びだと思ってくれて構わない。
ただし、……くれぐれも他言するなよ。
もし話が職員にでも漏れたら、お前も共犯だと喚いてやる」
声のトーンを落とした吟子は、冷たい目で一樹を見据えた。
獲物に狙いを定める、鷹のような容赦のない眼差しだった。



