「何を知ってたんだ。
いや、何で知ってたんだ。
あんたは……」
「簡単な事だ。
……情報提供者がいたからだ」
「なら、何でテロの事を知っておきながら、逃げなかったんだ。
結果として、あんたは両脚を失っている」
「その時点では、信じていなかったんだ。
……あと、私の脚は一応、切断したわけではない。ほら……」
吟子が膝掛けをちらりと退かすと、確かに彼女には両脚があった。
包帯でぐるぐるに巻かれてはいたが。
「失礼。でも、その信じられなかった、っていうのは?」
「あまりに、話が突飛だったからだ。
いや、今になって考えてみれば……私が、認めたくなかった、と言うべきだな。
私達が大量に始末される可能性は、高かったのだから……」
うろたえる一樹を見て、吟子は呟いた。
「……どうやら、本当に何も知らないようだな、君は」



